ブルーラジカルP-01の効果とは

 
 ブルーラジカルP-01を使用した場合の効果とは、強い殺菌効果によって得られるものであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
 
 もしかしたら肩透かしを食らったような感じを受けるかもしれませんが、実はこれがすごいことなのです。99.99%殺菌効果、比較のデータなどは研究に任せるとして、ここまで強い殺菌効果を持つ治療器で、かつ人体に影響がない、このようなものは過去にありませんでした。
 
 歯周病治療を行う上で今現在一番大切なことは、残っている回復できるであろう可能性のある組織を1秒でも早く細菌性、力学的な炎症から解放してあげることです。この回復できるであろう組織というのがミソで、歯周組織は破壊され始めた段階で全て死滅するわけではなく、炎症を起こしている組織の中にも健全組織に戻ることができる細胞たちが生き残っているのです。歯周外科のタイミングを、歯周組織の変化を見てから行うべきと言っている先生もおられます。病理切片にすると除去するべき肉芽組織と残すべき肉芽組織が分かるらしいですが、その区別は臨床の現場ではなかなか難しいと思われます。
 
 歯根にシャーピー繊維が埋包されている有細胞セメント質という大事な組織がありますが、従来のSRPによって、もしくは強力なレーザーの直接照射によって汚染物含めてdisinnfectionすると、このポテンシャルのある組織も一緒に除去破壊されることになります。旧来の方法ではこれしかなかったので致し方ありませんが、歯周組織の復活は望めません。これは今、健全である組織をきちんと維持しようというやり方になります。
 
 ただ、このブルーラジカルP-01の登場によって(光線力学療法は以前から同様の立ち位置でしたがバイオフィルム内への浸透が難しく限定的でした)このポテンシャルのある細胞たちの復活を含めた治療が可能になりました。当院では、ここが菅野先生のおっしゃる「New Designed Periodontal Therapy」であろうと捉えております。分かりやすく言うと、旧来よりももう少し歯周組織の回復が見込める可能性がある方法で、かつ非外科処置であるということです。
 
 誤解してほしくないのですが、新しいきちんとした技術や知識が登場すると過去のものを180度ひっくり返すような事が起こります。この辺は結果論的な部分もありますし、このような過去の経験から今の歯科技術が向上した面もあるので、従来の治療法を悪いことであると批判しているわけでは決してありません。従来の治療法にはきちんとした想定される結果があり、その長期予後が検証されている素晴らしいものです。逆にこの新技術知識は、新しいが故に長期予後がわかりません。再照射のタイミングがどの程度が良いのか、などがわからないのもそのためです。
 
 僕の大切にしている言葉の一つに「後医は名医」というのがあります。要は、後からはなんとでも言えるということです。当時はその治療法がベストであった。これは間違いないと思います。今歯周病に対して全力で立ち向かっているその瞬間の診断、判断、決断は間違っているはずがないと思います。ただ、時代の流れで嬉しくもブルーラジカルP-01のような革新的な治療器が出現し、従来の歯周治療の一部をひっくり返すようなbreak throughが起きたことは事実です。時代は変わります。今後とも大きく変わっていきます。その際に知識技術をブラッシュアップして、常にその時できる一番のことを提供できるようにありたいと当院では考えております。
 
 
 

コラム 理科の中川先生

 
 中学の頃の話ですが、将来歯科医師になるとは夢にも思っていなかった頃の面白いエピソードがあります。理科の中川先生はとても濃いキャラクターの先生で当時定年の1年前、最後の担任のクラスが僕のクラスでした。理科室でヨレヨレの白衣を着て、ニカっと笑った時見える前歯は今思えば歯周病で挺出していたのでしょう。おそらく歯磨きの話だったと思いますが、「君たち、歯磨きしなくて済む方法知ってるか?」中川先生はこのような問いかけが好きでした。そしてその答えも「ぶっ飛んでいること」を知っている僕たちは、一生懸命答えを当ててやろうと手を上げて発言しました。誰も当てることができないのをニヤニヤしていた先生が答えを教えてくれました。フラスコを持ち上げて「この塩酸を飲めばいいんだよ!」「歯が溶けてなくあるからな!!」そう来たかー、とみんなあっけに取られていました。